第7話




本作品には以下の傾向を含みます。

SF設定/密室/飼育/ややしつっこいエロ描写/(捉えようによっては)獣姦

尚、この第7話には『いっそ、くるい咲き』のまいこ様より賜りました桃色艶絵がついております。
拙文の至らなさを補いかつ皆様の妄想をさらに深化させること間違いなし!ですので、
背後に気をつけたい方は特にご注意の上、
ドキドキとスクロースしていって下さいませ(●´艸`)

   

「おいで、マヤ」 「みぅ……」 「暴れるなよ――ほら」 タイルの上に座り込む、その背中から弱い水量に落したシャワーの湯を降り注ぐ。 始めから強すぎる勢いだと嫌がって逃げ出す為、まるでコップの水でも流す様なごく少量だ。 慣れてきたところで徐々に勢いを強めてゆく。 背中から全身に万遍なく浴びせた所で、額の下に掌を差し入れ、前髪を掻き上げる。 「目を瞑ってなさい」 マヤは言われた通りに目を瞑ると、その上から両掌を押し当てて必死で水が浸み込まないように身構えている。 長い黒髪を襟元から掬い上げ、後ろに流した前髪と一緒に湿らせてゆく。 シャンプーを手に取り髪に馴染ませると、ゆっくりと泡立てていった。 「目、開ければ――今なら大丈夫だろ」 「にゃ――ヤだ。しみるの、いたい」 「そんなヘマ俺がするか。しかしいい加減慣れなさい、いつまでも自分一人で入れないぞ」 「マヤ――はやみさん、してもらうのがイイな……」 「――怠け者……猫め」 とはいえ、甘やかすのが楽しくて仕方ないのは俺なのだからどうしようもない。 シャンプーを終え、トリートメントまで済ませると、軽く髪を絞って水気を取る。 そのまま捩じってバレッタで留めてやったら、瞬時に外された。 相変わらず肌身にぴったり付く装飾品は苦手らしい。 ちなみに現在、首輪もつけていない。 猫の時から嫌だったのだと聞いていた。 「折角洗ったのに石鹸がつくだろ。留めた方がいいんだぞ」 「イタいもん――マヤ、このままがいい」 これ以上の押し問答は面倒なので、切り上げることにする。 次は身体だが――これがまた厄介だ。 「脚、開げて。汚したんだろ」 「にゅ……そんにゃに――くさく、ないヨ?」 「猫よりは、だろ。早く」 「うう――おフロやだ……」 問答無用で脇の下から腕を入れ、引き寄せる。 この方法で洗うのもいつもの事だったが――俺自身が裸でいるせいなのか、最初の頃よりやや彼女の体つきが円やかに成長してきたせいなのか。 妙な……気分になりそうなのを、慌てて打ち消す。馬鹿馬鹿しい。 彼女は――猫だろうが人間だろうが、子どもなのに変わりはないのだ――だが。 その姿勢でいれば嫌でも見えてしまう、まして洗うともなれば見ずにはいられない。 白く滑らかな肌が水滴を弾きかえす様はいかにも若々しく。 片手で全て覆ってしまえそうな程細やかな胸の上には、小さなふたつの桃色の突起。 まだ柔らかな皮膚の下で埋没している様は、かつて彼女が猫だった頃の鼻の頭の様に可愛らしい。 胸の真ん中から臍の辺りにまで視線を落とす。 平らかで子供染みたようでいて、引き締まった筋肉の張りなどはとても美しい、と思う。 そしてその下――初めて観察した時と変わらない、ぴっちりと閉じた筋目に沿って淡い体毛に覆われた器官――胎内へと続く、彼女の内臓。 今は僅かな臭気に塗れた――とでも思いこまなければ、そう、食べ物につられて漏らすなんていかにもお子様だ、俺はただ飼い主として、保護者として処理してやっているだけなのだと思い込まない事には。 ――非常に、マズい、と理性が黄信号を出している。 彼女のせいですっかり忘れていたのだ。 人嫌いの俺でも一応男なので、それなりに肉体的な処理をする必要がある、という事実を。 ここ数カ月、その種の付き合いをスッパリ断って、半ば聖人の如く慎ましやかな生活をしていたツケが今頃回ってきたとでもいうのか? ……深々と深呼吸をし、何とか下腹部の熱を抑え込むと。 暫く動作の止まった俺を不審そうに見上げるマヤの額に軽くキスしながら、手にしたスポンジをまずは左の膝から踝の辺りまで一気に滑らせた。 「ぎゃおっ!!」 案の定、大げさな叫び声を上げると、半分俺にもたれかかっていた身体をばねのようにしならせて身を捩る。 その肌は全身黒い毛皮に包まれていた時よりも恐ろしく敏感になってしまったらしく、軽く擦っただけで相当くすぐったいようだった。 が――しかし。 今夜は自分が「失敗」してしまったが故、という負い目があるせいか。 いつもならここで果てしなく「じっとしてなさい」「いい加減にしなさい」の往復が続くのだが、一度跳ねただけで後は何とか耐えようと彼女なりに努力している様子だった。 「今夜はいい子だな――そのままじっとしてろよ」 「うにゃ……う、は、早く、して」 両腕を胸の前で交差させて、必死でくすぐったいのに耐えている―― 下唇を噛むその姿は、まるでこっちが危うい愛撫でもしているのだと勘違いしそうになるではないか。 ……そんなつもりはない、はずだ、多分。 誰にともなく言い訳しながら、彼女の申し出の通りさっさと処理してやった。 最も汚れてしまったであろう膝の裏から内腿にかけて、泡立てながらやや強めに擦る。 右脚も同じようにして、ついでに腰の周りや腕も綺麗にしてゆく。 みるみるうちに真っ白な肌が桃色に上気してゆくのは、何もくすぐったいせいだけではなく、摩擦による刺激の為――だろう。 その間にバスタブにはたっぷりと熱い湯が漲り、バスルームの中は真っ白な湯気に包まれていった。 床にぺったり尻をつけた彼女を冷やさぬよう、シャワーは流しっぱなしにしている。 そして――最後の最後に、何気なく擦ってやっただけのつもりだったのだが。 「ひゃう!!んにゃぁっ!?」 「うわっ……な、何」 今まで聞いたこともないような素っ頓狂な声を上げて、マヤはビクッと全身を震わせた。 「ゃ……にゃ、にゃに!?い、いまっ?」 「な・に、だろ。また猫語が――って、今の駄目だったのか?」 「な、にゃ、な、な・ンか――び、びっくりした。ドコあらったの?いま」 「どこって……」 大きく胸を膨らませて息を整えるマヤ――八の字を描くようにして投げ出された真っ直ぐな両脚の先の小さな指がきゅっと捻じ曲がっている。 俺は何故か急に乾いたような喉を鳴らしながら、たった今触れた部分に眼をやった。 薄いシャボンの泡に包まれた箇所が、隙間から僅かにピンク色の艶やかな花弁を垣間見せている。 マヤは僅かに腹を動かし、得体の知れない感覚の在り処を探るように両手を臍の辺りで彷徨わせていた。 「まさか――今ので感じたのか?」 「かん――何が?」 嘘だろ…… その瞬間のありとあらゆる感覚の訴えに、俺はただ深く溜息をつくことしか出来なかった。 俺の脚の中にいる子猫は――少女は、明らかに性的な刺激に反応する事が出来る。 そしてその反応は種やら年齢やらを軽く飛び越え、俺の精神と肉体に著しい――影響を与えた、それは劇的に。 「マヤ――君って子は……何て子だ、ホントに」 「ん?」 「こっち向いて」 言われるがまま、マヤはくるりと俺に身体を向けた。 擦られたせいなのか、磨かれたせいなのか。 肩の先から指先まで全身ピンク色に染まり、黒目がちの瞳もどことなく潤んでいるように見えるのは気のせいなのかどうか。 「キス、してご覧」 「うん」 こくん、と頷くと。 マヤはそのほっそりとした両腕を俺の二の腕にもたげると、背筋を伸ばして唇を突き出してきた。 俺が最も頻繁に触れる場所――まずは額に、軽く。 ちゅ、っと音を立てて離れた唇は、今度は鼻の上に降りる。 長さもタイミングも俺がするのと全く同じ、よく覚えている。 その次は顎の先だ――やはり軽く触れた後、小さな彼女の顎をまるで食べるように下唇のあたりまで口に含み、口中で舐め回した後で喉元をくすぐってやるのがいつもの俺の所作だった。 その通りに、マヤの唇が触れる。 しっとりと吸い付くような――蕩けるような唇の柔らかさに、我知らず笑みが零れた。 そのまま、彼女の腰の両側に腕を回し、温かな身体を抱き寄せた。 まいこ様!ありがとおおお!!! illustrated by まいこ様 どれ程の間、そうやって軽く啄むようなキスを続けていたのだろう―― ……ふいに、マヤがまたしても妙な声を上げてのけ反った。 「ん……に、んにゃ!?」 そのまま、呆気なく唇が離れてゆく。 「な、え、わあっ!何コレ速水さん?」 全く、興醒めなコだ。まあ、当たり前か。 「あんまり見るな。これでも一応恥ずかしいんだからな」 「はずかし?――や、ヘンだよ、これ? ……さっきのと、なンか違う、カタチ」 「確かに変だな。おっと――今はあまり近寄るなよ、うっかり悲劇が起こりかねん」 服を脱いだ時と同じ、興味津々の面持ちで顔を埋めかける肩を引きつかんで元の姿勢に戻す。 「まだ終わってないだろ、キス」 「うぁ……ん――」 戸惑いつつも素直に頷くと、マヤは再びキスを続けた。 顎の次は、唇と唇を重ねる。 軽く触れて、離した後。 もう少し深く押し付けて、上唇を軽く噛む。 引っ張り上げるようにして――離したら、今度は下唇を。 ここ迄はいつも通りだが……その先は。 「むっ――ん、にゅっ……?」 離れかけた唇の中に素早く舌を差し伸べ、歯列を割る。 びっくりして顔を反らせようとするのを、頭と肩を掴んで引き寄せた。 軽く腕に置かれていただけの腕が胸を押さえつけてくる。 そのままザラつく薄い舌に絡みつき、ちゅううっと音を立てて吸い上げる。 ますます慌てたマヤは腕を突っぱねて身を離そうとしてきた。 右手で顎を固定したまま、左手で背中から腰までゆっくりと撫で下ろす。 すると――多少落ち着いたらしく、やや身体の強張りが緩む。 「にっ、ふっ……ぅう……」 息苦しいのだろう、小鼻を膨らませて懸命に息をしようと踏ん張っているのが愉快だった。 唇の角度を変えながら、やや尖った小さな歯の裏を一枚ずつ舐めてゆく。 上顎をなぞると、人間のものよりもザラザラと起伏に富んでいるのがやけに気持ちいい。 暴れていた舌が落ち着き、何をしているんだといわんばかりに俺の舌の動きについてくるようになった頃、背中と腰を往復させていた掌を腰の一番深い窪みに滑らせた。 元々尻尾のあった辺りを人差し指で円くなぞった瞬間―― 力の抜けきっていたはずの上半身がびくん、と再び反って、また唇が離れていった。 「みぎっ……はっ、はぁあっ、にゃ――な、何!?」 ようやく確保された呼気に激しく胸を上下させながら、涙目で訴える。 既に熱く重い欲情の手綱を離した俺の視線がいつもと違うことに気づき、何か怒られるとでも勘違いしたのだろうか、びくっと肩を竦めた。 「そうか――元が猫なら、既に成熟していておかしくない訳だ。  俺の所に来て三ヶ月だよな、チビちゃんは」 「……?」 するっと、再び指を這わせる。 尻と腰の付け根の薄い皮膚を、産毛に触れるようにして撫で回すと、マヤは困ったように眉を歪め、ビクビクと床に両膝を立てたまま背筋を震わせる。 倒れないように腕を俺の首の後ろに回してやりながら、近づいてきた鎖骨と鎖骨の狭間に口付けてゆく。 「人間の姿になったからには――何で生理が来ないんだと思っていたが。  交尾排卵生物なら当たり前、か……じゃあもし俺としたら――どうなるんだ、マヤ?」 「ひにゃ――ぁ、い、言ってるいみ、わかンないよ……速水さん――」 「ああ、俺にもよくわからない……変になったんだろうな」 ゆっくりと鎖骨から胸の間へと舌を滑らせてゆく。 その間にも、腰の下に続く双丘の狭間に指を這わせながら擦り上げるので――刺激に耐えられないのか、マヤは何とも複雑な鳴き声を鼻から漏らしつつ、しがみ付いた腕にぎゅうっと力を込めていった。 タイルの上に膝立ちになった柔らかな太腿が、俺の熱く膨張してゆくものに触れたり触れなかったりする。 その生々しい感覚と、倒錯しきった状況に。 明らかに、俺はかつて経験した事がない程興奮しきっていた。 身体は勿論の事ながら、そんな状況下でも決して「没頭」する事のない俺が、今や必死に牽制しないと手順を全て放棄し兼ねない程の興奮に延髄の奥を痺れさせている。 どう理屈を捏ねようと、彼女が「猫」である事に違いはない。 彼女が成長し、「人として」相対できるようになるまで、この感情には眼を瞑ろうと思っていた。 これでは――愛玩動物を性処理の対象にする変態とまるで変わらない。 彼女が成長してゆきやがて複雑な心理を獲得した時、それはどれ程の重荷となる事か。 ああ――だけど、今は、もう。 衝動のまま、右手で彼女の片方の胸を持ち上げる。 髪の中で、ハッと大きく息を吐いたのを感じた。 目の前でぷっくりと存在を主張する、桃色の突起に舌先をつける。 「ひゃふ……っ!?」 マヤは甘ったるい声を上げて身をしならせ、ますます俺の身体に擦り寄ってきた。 「ん――気持ちいいのか?マヤ?」 舌で円を描きながら舐め、その半径を徐々に狭めてゆくと。 僅かに埋没していた淡いものが、段々と硬く尖ってくるのが嫌でもわかった。 人差し指と中指を伸ばして挟み込み、唇の裏側に含む。 「ふにゃ……にゃ、ぁ、あァん……」 ちゅくちゅくと――音を立てながら舌を突き立て、吸い上げてやると。 もうそれは発情期の猫の鳴き声と寸分違わず、細く甲高く、マヤは喘いだ。 その甘い声が、舌先の水音と絡まり合いながら湯気の立ち込めるバスルーム内に反響する。 「マヤ……こっち向いて」 「ふぅっ――う、ぁ」 頭の上の圧迫が弱まり、恐る恐る、マヤが顔を下に向けてくる。 彼女の胸に埋めていた顔を上げて、視線を同じ位置に合わせた。 頬は燃える様に火照りきり、とろんと蕩けた瞳からは涙さえ零れていた。 胸と腰の愛撫だけでこうなってしまうのだから―― 果たして、これ以上触れたらどうなってしまうのか。 やや本気で心配しながらも、尻の上を彷徨っていた指先を手前に滑らせる。 「んに……ぅ、速水さぁん――コレ、ホントに、おフロ?」 何かマズい、と直感的に感じたのか。 下腹から胸にかけて、石鹸の泡を滑らせながら擦り上げてゆく俺の両手を目で追いながら、マヤは情けなく呟いた。 「さぁ――何だと思う?」 吹き出しそうになるのを堪えながら、頼りなく俺の手首を掴んでくる掌を無視して撫で回す。 薄い皮膚の上――肋骨が僅かに浮き上がった脇腹から、ぷっくりと尖りきった先端へ。 そのまま緩やかにカーブを描いて後ろへ流し、肩甲骨の上を辿って……再び可愛らしい膨らみの上へと。 「ぁ……ヤ、――なンか、ちがう、と思う……  気持ち――イいけどっ……あふっ」 「それなら結構――嘘はつくわお漏らしはするわ、今夜の君はいろいろ酷かったが。  俺も酷い事を言ったし、おあいこだな。だから――約束するなら教えてあげてもいい」 「や、くそく――?……んンッ――」 最早小刻みに痙攣して半身を支えられなくなった腰を抱き寄せ、潰されるような形で俺の顔に寄せられた胸に歯を立てた。 「あっ、あ、ぁあっ……やっ――それ、ヤだ!?」 「ヤだ、じゃなくてい・や。本来なら嫌で・す、だろ。俺は一応飼い主だぞ、君の」 「にぃっ……あっ、はあァっ――!!」 何とか俺の頭を押し退けようともがくのを、乳首を数回甘噛みする脇から指先で捻り上げた。 頭を押し退けられないと悟り、馴染みのない、だが鋭敏な感覚からも逃れられないと理解すると。 マヤはその逆の行動――つまり、俺の頭を必死で抱きしめて耐える、という行為を選択した。 そしてそれは多分正しかったのだろう。 ちゅるちゅると、啄んでは離し、離しては啄み、摘まみ上げる。 断続的なその刺激にぴったり寄り添うように、マヤは短く喘ぎ続けたが、何とか意識を失わずに堪えていた。 ふいにその腕の拘束を引き離す。 驚きに見開かれた眼の、瞼の上に軽くキスしてひっくり返す。 ホッとしながらも、どこか物足りないようなその訴えに、勿論気づかない訳がない。 最初に身体を洗ってやった時の姿勢に戻すと、俺自身も脚を崩してその上にマヤを乗せた。 「さて、約束だ――これから君に極めて人間らしい所作の一つを教えてあげる。  その代わり、いくらよくても一人で勝手にしない事。場とタイミングをわきまえる事。  それから言葉の勉強を真剣に始める事。歩く練習を続けること――後は……」 「たっ、たくさん!速水さんズルいっ……そ、れにそんな、約束って何……」 眉を吊り上げて抗議してくるのも、その箇所に触れた瞬間、ピタリと止まる。 既にぐっしょりと濡れそぼり、ひくひくと艶めく秘裂にほんの少し触れただけで。 「さっきから――何か物足りないと思ってる、だろ?」 ぐちゅっ、と、音を立てて。 狭い隙間に指を沈ませる。 熱く滑った筋肉がきゅうきゅうと締め付けてくる。 誰も踏み入れたことがないはず――とはいうものの、猫の時代に出会う前、彼女が他の雄猫と何があったかまでは知る由もない。 早いコでは生後4カ月で生殖可能だというから。 が、いずれにせよ彼女にそれを問い詰めるつもりなどない。 察するに――十中八九、それはないと思うが……が、彼女はこれで芝居が上手いのだから。 それならばそれで騙されてやったっていい、俺はこの子に関してはとことん甘い。 「ほら……こんなになるまで我慢して――苦しかったんじゃないか?」 「にゃにゃっ……にゃう――ぅ……っ!?」 マヤはイヤイヤをするように首を振り、俺の膝の上で身悶えた。 差し込んだ指を更に先へ伸ばし、中でゆっくりと掻き回す。 ぴっちりと閉じた隙間が指一本分を嫌々ながら受け入れ、桃色の内部を広げてゆく。 痛みがないのをじっくりと確認した上で、もう一本、脇から挿入する。 恥骨周りの筋肉が激しく収縮し、よりきつく締め付けてくる。 此処に――滾る俺自身を埋め込んでみたらどれ程……と、いう衝動を何とか堪える。 “約束”を交わすからにはこちらとしてもフェアにいかねばならないだろう、愛玩動物とはいえ――今後も彼女を愛し続けるというならば。 そう、今夜は教えるだけ。それだけでいい。 「ふにゃァあ――は、はっ、はやみさぁあんン……っ」 やや不明瞭な発音ながら、マヤは必死で俺の名前を呼び続けた。 差し込まれた指の振動に応えながら小刻みに腰を振る様は―― 自分から刺激を欲して動いているのは明らかだった。 俺はこれまで、意図的な媚態からくる「嫌」だの「やめて」だのといった女の言葉は鼻で嗤ってやり過ごしてきた。 顔も名前も朧げな、場当たり的に触れてきた女たちとの行為の最中は。 だがマヤは―― 初めての感覚に戸惑いこそすれ、彼女は欲しいと思うものには媚びたりしない。 その欲望のままに俺にぶつかり、擦り付け、絡みついてくる――今、この瞬間も。 「可愛いだけだったのに――凄く、イヤらしくなってきたな……マヤ」 「い・や?……っ、速水さ――マ、マヤのことっ……きらい!?」 細めていた眼をぱっと見開いて、マヤは俺を見上げた。 タイルの上をぴくぴくと這い回っていた掌が、慌てたように俺の左腕を掴む。 また愉快な勘違いをしでかしてくれる――最高だ、本当に。 否定の印に半身を傾け、薄い耳朶を噛みながら囁いた。 「違う、マヤ。イヤ、といやらしい、は場合によって別。  主に後者は――褒め言葉だ、この場合」 「……?日本語、ワケわかんな――んにゃっ、あっ、ぁああ、な、ンか――また変……」 「変、じゃなくて――イイんだよ、それは……  気持ちいい、とか、いく、とか。まあ言葉はいいから、気持ちのままに動け、マヤ」 「ん……ぁ」 挿入した指を小刻みに振動させてやると、小さな唇から再び短い鳴き声が漏れ始めた。 湿気と涎に濡れた唇を舐め上げて、呼吸困難に陥らない程度のキスを与える。 マヤは夢中で吸い付いてきた。 ひたひたと、襞と襞がくぐもった音を立て続ける――どこも、かしこも。 所在なく腹の上に投げ出していた小さな掌が、いつの間にか自分の乳房を包み込むように這い回っているのが視界の隅に入った。 一旦指を引き抜いて、片手を掴んでそこへと引き寄せる。 ふっと見開かれた瞳が問いかけてくるので、何も心配する必要はない、と眼で応えた。 彩度の低い照明の下、恥かしげに舌先を突き出した子どものような恥部が浮きあがっている。 彼女の指と俺の指で、無邪気を装うその箇所をそっと押し広げてゆく。 ぬるぬると光る肉珠に彼女の指を添わせ、上から俺の指でその繊細な襞を剥いた。 「はぐぅっ……!!」 その途端、これまでとは違う、喉の奥で潰れた様な声を上げてマヤは全身を強張らせた。 夢中で吸い付いていた舌が解け、カッと大きな瞳を見開く。 「指、動かして」 「うっ……でっも、にゃ――んか、しょ、こ――い、いたいよっ……」 目尻から涙を零しながら、小首を傾げて俺の膝に押し付けてくる。 いよいよ舌が回らなくなってきた様だが、こっちにも訂正する余裕はない。 胸を押し潰しそうな欲情と愛しさに震えながら、低く絞り出すような声で囁く。 「気持ちよすぎて――痛い、のかもな。ゆっくりやれば大丈夫」 「ゆ、ゆ、ゆっくり……ぃいっ!?あ、はぁああっ」 ぴくっ、と自ら刺激した途端、彼女の全身を貫くような衝撃が走ったのがわかった。 反対側の手が縋るように空を泳ぐ。 その手を首に回してやり、しっかりと支えた。 「マヤ――約束は……?」 喘ぐ唇、顎の下に額を押し当てながら囁く。 「す、るっ――やく、しょく、するからっ……っあ、あ、だから――っ  い……く?きっ、きもち、いく――してぇっっ」 細い肩が軋みそうな程抱きしめながら、浅く差し込んだ膣口の内壁を激しく掻き回した。 痛みに近い快感に怯え、逃げ出そうとする掌を肩で押さえつけながら。 激しく突き上がる腰とは裏腹に内側に閉じようとする太腿を、脚を使って無理矢理押し開く。 達する瞬間の悲鳴は、猫も人間も似たようなもんだな――と、その時ふと思った。 ぐちゃぐちゃに弄られ尽くした隙間から止めどなく流れ出す愛液……ほどなく、細やかで幼げな水音がそれに混じり始めた。 流しっぱなしのシャワーの湯と交じり合いながら、タイルの上を静かに流れてゆく。 「速水さん――ゴメン、なさい……また――しちゃった……」 まだ衝動の余韻の残る真っ赤な顔を申し訳なさそうに歪めて、マヤは小さく呟いた。 「いや――布団の中でされるより全然いい」 素直に感想を述べながら、ゆっくりと指を引き抜く。 ぐったりと弛緩しきった身体を掬い上げ、バスタブの縁を跨いで沈み込んだ。 程よいぬるま湯に首まで浸かりきりながら、愛する事と愛玩することの差異について軽く想いを巡らせた。 だがそんな些細な思考を打ち砕くのは、いつだって彼女の存在そのものなのだ。 マヤは俺の両手を自分の胸の前に引き寄せ、水中で組み合わせたり解いたりして遊んでいる。 その頭の上に顎を乗せて、俺は幸せ半分、不安半分の溜息を零したのだった。 web拍手 by FC2

last updated/11/01/05

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