第8話


↓現ライラより警告↓
*2004年12月に完結済みの旧作です。原作は42巻が出たか出ないかくらい、だったはず。
*前サイト名、HNは伏せてあります…お察しください(涙)
*どうやら前歴三作目のパロ…にして、初の(悪趣味な)コメディらしいです。

夜の街を、マヤの姿の真澄が運転する車が進んで行く。 その横顔は、青ざめて疲れの色が濃い。 じっと見つめていたマヤが溜息をつく。 「どうした、チビちゃん」 「この姿じゃチビちゃんは変ですよ…」 「そうだったな…」 「…ごめんなさい、速水さん…  私のせいで、こんなおかしなことになっちゃって…  おまけに今日は忙しいのに迷惑ばっかりかけちゃって…」 今にも涙を流さんばかりにうな垂れるマヤ。 「まあいいさ。君とのトラブルは不可抗力。楽しんだもん勝ちだ」 「…でも、速水さん疲れてる…  今日だけじゃない、ほんとに毎日忙しいのに、私の為に時間割いてくれて…」 申し訳なさそうなマヤの言葉に、真澄の脳裏に先ほどの水城の言葉が過ぎる。 「マヤ…マヤ、聞きなさい」 交差点で停車中、真澄はそっとマヤを覗き込んだ。 「なあマヤ、俺はマヤの為に時間を割いてるんじゃない」 「え…?」 「俺が君に会いたいから、俺が君に触れたいから、  俺が俺の為に時間を割いてるんだよ。  それで俺が寝不足になろうと疲れようと君が心配する必要はないし…  して欲しいとも思わない」 「でも…」 ふ、と真澄が微笑む。 腕を伸ばし、マヤの頭を自分の顔の位置まで下げる。 自分の顔…だが、その瞳の奥の不安定な色は、マヤそのものだ。 運転席越しに、 ゆっくりと…口付けを交わした瞬間、信号が青に変わる。 「…でも、このまま元に戻らなかったらどうしちゃうんだろう」 速水邸に戻り、 暗い玄関に滑り込むと、マヤは溜息まじりに呟いた。 真澄が電気をつけると、 朝方、もんどりうって転がり落ちた階段がぱっくりと二人の前に立ちはだかる。 「もういっかい、二人で落ちたら元に戻ると思う?」 「…あまり賛成できないな。君の身体にもしものことがあったらどうするんだ」 「・・・」 とりあえず、階段を登る。 手をつないで、ゆっくりと。 薄暗い階段は黒くひんやりと冷たい。 全て登り終えて、マヤが振り返る。 そのまま一番上に膝を抱えて。 「…もし戻れなかったら…」 「その姿のまま、役者を続けるとか?」 真澄が笑う。 「あは。いいかも。そしたら女優じゃなくて俳優になるのかな」 「一大事だな。大都芸能社長、社長から俳優への転身…か」 「で、北島マヤは女優やめて、社長になっちゃう!?  うわあ、すごい変っ」 マヤがクスクス笑う。 確かに、とんでもない光景だ。 「あ、じゃあ紅天女はどうなっちゃうのかな!?」 「俺がこの姿でもできるわけないし、上演権は君にあるんだから…  もう君がその姿でやるしかないんじゃないか」 「お、女形の紅天女…ふ、あはははは…へ、変…けど  あたしのよりキレイになるかも…!?あはははは」 真澄も、たまらなくなって二人して暗闇のなかで身を捩って笑った。 しかし、その場合真澄の姿が桜小路一真と絡みを演じるんだぞ社長。 「さて、いつまでもこんな冷たいところに座ってないで、行くよマヤ」 呼びかけると、 膝を抱えたままのマヤは、うん、と頷き立ち上がろうとした。 …と、昼に真澄に思いっきり蹴られたみぞおちが再び痛み出す! 「う…」 「マヤ、どうした?」 と、かがみ込む真澄。 「おなか…」 「ああ、すまんな、昼に俺が…」 と言いかけて、真澄の目の前が急に真っ白になる。 お月様の途中にして、朝からのハードワークが祟ったか。 マヤを支えようとした自分の身体の方がふらっとし…そして、 「きゃっ 速水さ…」 「あ…」 バランスを崩した真澄の腕を掴もうとするマヤ。 しかし、中途半端な変な姿勢で膝を抱えていたため、 その拍子に自分のバランスまで崩してしまい… ズターーーーーーーーーーーンッ!!! お約束どおり、派手に転がり落ちる真澄とマヤ。 しばしの静寂の後… 「う…」 と起き上がったのは真澄の頭である。 「すまんマヤ、ちょっと眩暈が…」 と、呟いて、はっと気がつく。 隣に、倒れ付しているのは、マヤ。 正真正銘、マヤの姿の、マヤである! 「戻ったーーーーーーーーーーーっ!!!」 多少腹が痛いのを除けば全くいつもと変わらぬ自分の身体。 真澄は思わず声をあげる。 しかし、マヤは動かない。 「マヤ、マヤどうした?おいっ」 揺り動かし、そっと上半身を起してみる。 外傷は無く、顔色は多少悪いものの、呼吸も普通だ。 まあ、マヤの身体にしてみたら、いつもどおりじゃないのに加え 車の運転から社長業、巴投げまでこなしたのだから、 これまでもっていたのはひとえに真澄の精神力のたまものである。 そっと髪をかき分け、覗き込むと、 すうっと、 小さな寝息が聞こえた。 …無理も無いか。 真澄は、そっと微笑むと、 今度こそ、自分の唇で、愛しい女の額に口付ける。 それから身を屈め、小さなマヤの身体を抱きかかえると、 ゆっくりと、慎重に、暗い階段を登って行った。 ああ、今夜はさすがに疲れた。 マヤ、君も相当無理したよな… でも、面白かったな。 予測もつかない事態の連続。 でもマヤ、君が側にいるだけで、そんなトラブルだって楽しめる俺がいる。 君がいてくれるだけで、自分でも予想もつかない自分を見つけてしまう。 だから…俺はいつだって君の側にいたいんだよ。 俺が、俺自身の望むままに。 寝室のドアを開け、ゆっくりとベッドにマヤの身体を横たえる。 ネクタイを解き、着替えもそこそこ倒れこむ。 泥のように疲れた身体。 たちまち押し寄せる心地よい眠気。 ああ、駄目だ、寝てしまう… まだ見つめていたいのに、まだマヤの髪を触っていたいのに… 薄れゆく意識と曖昧に戦いながら、 その髪を梳く長い指の動きがゆっくりと止まった時… 穏やかな寝息が二つ、重なりながら夜は流れてゆく。 END.          ***アイタタタ・・・*** あはは、三作目にしてやってしまいましたよお笑いを・・・ お約束通りに始まり、お約束通りに終わる。ああ形式美、日本の美・・・ じゃなくて・・・お笑いになってましたでしょうかコレ!?物凄く、不安・・・ おまけにやりたい放題やってしまったので、もし不快な思いをされた方 いらっしゃったらほんとにごめんなさい>< ありがちなネタかとは思ったのですが、 ライラ自身はこの設定のパロを読んだ事がないんですよね・・・ もしお話までかぶってたらあわわ・・・だな〜 でも、楽しみながら書けました☆ 毎度のごとく勝手に暴走してくれるのでほんと助かるオフタリサンです♪ しかし・・・この後目覚めたマヤちょんは・・・アレに気づいたらどうするんで しょうか〜うひゃひゃ。 2004.12.19 ライラ web拍手 by FC2

と…いうわけで、ライラの初コメディ作品でした〜^^
完全に自己満足とはいえ、ちょこっとでも笑って頂けたら嬉しいなぁ。
拙い作品ですが、ここまでご拝読頂き本当にありがとうございました!!

    

last updated/04/12/14

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