第7話


↓現ライラより警告↓
*2004年12月に完結済みの旧作です。原作は42巻が出たか出ないかくらい、だったはず。
*前サイト名、HNは伏せてあります…お察しください(涙)
*どうやら前歴三作目のパロ…にして、初の(悪趣味な)コメディらしいです。

水城君だ、助かった! と、出かけた声を寸でのところで喉の奥に押し込める。 …ドアの向こうは秘書課である。 今水城がこのドアを開けたらどうなるか…! 社員達の目前で、妻を押し倒し今にも襲いかかろうとしている 大都芸能社長の姿… (い、いかん…!!  明日から俺の仇名は「冷血社長」から「節操無し変態社長」に格下げだ…!!!  いや、別に格は上がっても下がってもいないか!? むしろ「熱血社長」に…じゃなくて!!!くそっ…どうしたらいいんだーーーーーっ) 焦りまくる頭の中、水城の声とマヤの力はどんどん大きくなってくる。 「真澄様?入りますわよ?」 (馬鹿マヤーーーーっ さっさと目を覚ませっ) もう猶予はない。 このままでは恥さらし街道まっしぐらである。 真澄は、ぐっと唇を噛むと、 「くそっ 起きろ、マヤっ!!」 渾身の力を込め、 押さえつけられたまま、右足を勢いよく突き上げる! ふいを突かれたマヤのみぞおちに、それは見事にヒット! 「ぐっ」 力が緩んだのを捉え、 もう一度、今度は両脚で、巴投げだ!!! さしもの真澄の身体も、渾身の一撃を受けものの見事に一回転し… 「真澄様?」 全く同時に開かれるドア! 「きゃあっ!!」 ガターーーーンッ!! …秘書課の社員は見た。 確かに、昼間っから社長室で妻を押し倒す節操無し社長ではなかったが、 その代わりに、第一秘書とともにドアから吹っ飛ぶ社長の姿を… 飛び散る書類、あっけにとられる社員、床に倒れる真澄と水城。 その衝撃で、やっとマヤが正気に戻る。 「ま、真澄さま…?」 「え、水城さん?どうして…」 と、社長室からふらふらと真澄が現れた。 「ご、ごめんなさい水城さん!!  速水さんったら昨日ほとんど寝てなくて…頭がぼんやりするからって、  そこで逆立ちしてたんですよ逆立ちっ!! そしたら急にドアが開くものだから、あはははっ」 「そ、そう?何だかすごい音がしたようだけど…」 「あああっと〜〜は、速水さん一発で逆立ちできなくて、  それで何度もドアに脚ぶつけてて、ほら、ゴンゴンって… もう〜逆立ちくらいすぐできないなんて、速水さん年とっちゃダメですよ―ーーっ」 …自分で言って悲しくなってくる真澄。 くそ、本来の俺ならば逆立ちくらい朝飯前、そのまま鉄棒の上だって歩けるぞっ などど歯噛みしても仕方ない。 すぐさまマヤを引き立てると、社長室の中に飛び込んだ。 そしてマヤをして、 「すまないが水城君、暫く部屋に入るのは遠慮してくれ!  集中しないと仕事が進まん!」 と言わしめた。 水城は水城で、(はいはい、マヤちゃんと二人きりになりたいのでございますわね) と納得する。 だが二人きりになると同時に、 マヤの声で真澄のお説教が飛ぶのだった… 「全く君は!!!芝居に夢中になるのは結構、だがもう少し控えろっ」 「ご、ごめんなさい…」 荒れ放題の社長室を見て、 マヤも正気を失っている間に何が起きたのか察したらしく、身を縮める。 「くそ、高速で仕事せにゃとても間に合わん。君はちゃんと部屋を掃除してなさいっ」 「はい…」 かくして、静かになった社長室の中では、 なりふり構わずパソコンに向かい、書類を捲っては処理を進めるマヤの姿と、 片付けながら何か踏んづけたりまた倒したりしながら睨み付けられる真澄の姿、 という珍妙な光景が展開されるのであった… 夜も八時を回った頃、 やっと一日の仕事にケリがつき、真澄は大きな溜息をつきデスクにうつ伏せになった。 腰はますます重く、身体中がだるい。 ふとマヤを見ると、疲れたのに加え、 真澄がほとんど相手にできないので飽きてしまったのか、 ソファにもたれたまま眠っている。 コンコン、 とまたノックの音。 「どうぞ」 と声をかけると水城が入ってきた。 「お疲れ様で…あら、マヤちゃん。社長は?」 真澄はふっと笑うとソファに目を遣った。 「ああ、お疲れになられてるものね…マヤちゃんも一日退屈だったでしょうに、 何か演技の参考になったのかしら?」 「あは…まあ、それなりに」 「まあ、社長と一日ずっと一緒だったんですもの、退屈なわけないわね?」 水城は悪戯っぽく笑った。 真澄もくすぐったく笑う。 全く…散々な一日だったが、ほんとにこの子といると退屈しない… 水城は、デスクの上の書類を片付けながら、 「あんまり寝てないから逆立ちねえ…まあ自業自得だと思うのだけど。  ねえマヤちゃん?」 「え?何が?」 「ふふ、忙しいだけじゃないのはわかってるわよ…ここだけの話、 ほんとに社長はいつ寝てるのかしら?」 「どういう事ですか?」 「察しなさいよ〜  …やっと貴方を手に入れた社長が、少ない夜の時間を削らないわけないでしょってこと。」 「・・・・!!!」 水城がこんなに面白そうにからかう姿など見たことがない、 いやそれ以上に、図星を当てられ全く面目ないというか…この秘書に隠し事は不可能なのを悟る。 「でも、いくらなんでもハードだわ… マヤちゃんも、殺さない程度に相手してあげなさいね」 くそ、大きなお世話だぞ水城君… 俺があの程度でへたれる訳あるまい! と心の中で呟くも、にっこりと微笑む真澄。 「真澄様、こんなところで眠ってはいけませんわ。  マヤちゃん待ってますわよ」 水城に揺り起こされて、マヤはやっと目を覚ました。 web拍手 by FC2

さあどうオチるのか…落ちるのか!?

    

last updated/04/12/14

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