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last updated/12/01/19
涙は次々零れ落ちた。 そのくせ少女は言葉を出そうとはしない。 浅い息遣いだけが真澄を不安にさせる。 恐る恐る、つないだ両手を離してみる。 マヤの手はゆっくりと胸から膝の上にほどけ落ちた。 何か言おうとしてか、小さな唇が開く。 だが言葉は出なかった。 くっ、 とひしゃげた呻きを飲み込んで、遂にマヤは両手で顔を覆ってしまう。 そのまま崩れ落ちるように蹲る。 自分の足元で震えるその薄い肩を、真澄は呆然と見下ろした。 築き上げてきた時間と想いが、すれ違いながら繋がっていた何かが、 今この瞬間に消えてしまった。 その残骸をただ見下ろしている。 だってどうしても欲しかったから。 それがお前をそうやって絶望させると、知っていながらそれでも欲しかったから。 大きく息を吸って、それから吐いた。 苦いものが鼻の奥まで突きあがってきたが、顎を上げて何とか振り払った。 そして自分もマヤの傍までしゃがみこむ。 少し乱れた黒髪の下、細い指の隙間が涙に濡れているのが見える。 息を押し殺しながら、マヤは震えている。 ――どうしたらいい、どうしたらいいんだ俺は。 しゃがんだまま、真澄の頭の中もぐるぐると熱く渦巻く。 差し出そうとした手は拒絶を恐れて宙に留まる。 だが、だが何か言わなくては。 何度も乾いた唇を噛み締める、そして。 「・・・ごめんな、マヤ」 ひっ、とマヤの喉が鳴鳴る。 身体が一層小さくなる。 「ごめん、俺は結局・・・違う、 こんなつもりじゃなかった」 ああ、もうどうしようもない。 大都芸能の速水真澄が、 11も年下の少女に泣かれて、どうすることもできない。 何もできない。 俺自身も救われない、この子の笑顔もない。 最低だ。 絶望がどんどん現実味を増して胸に突き刺さる。 だけど・・・やっぱり、目の前にこの子がいることだけは本当で。 こんなに苦しいのに、それだけで狂おしいほどに幸せで。 「マヤ・・・」 氷のように冷たい地面に両手をついた。 黒髪に囲まれたマヤの表情は見えない。 もう我慢ができなかった。 そのままその身体を抱きかかえた。 途端に、堰を切ったようにマヤが声をあげた。 小さくか細い声で泣いた。 ごめん、と何度も呟きながら真澄は両腕に力をこめた。 抱きかかえたまま、腰を起してみる。 頑なに思われた小さな身体が、つられてぎこちなく起き上がる。 少しずつ・・・少しずつ。 抱いたまま、ほんの少し頬を寄せてみた。 黒髪の間に光る、ビーズの冷たい感触がした。 マヤの嗚咽はそのまま自分の胸の底へ落ちてゆく。 やっとその両膝が真っ直ぐに伸びた、その時。 信じられない感触に、閉じた真澄の瞳が開かれる。 マヤが真澄の首へ両腕を回したのだ。 震えてこそいたが、確かに。 少し屈みこんだまま、そのままでいる。 すると・・・ ぎゅっと、静かにその腕に力がこもった。 濡れた頬が顎に触れる。 はっ、 と深く息をする音がする。 そして・・・小さな呟きが漏れる。 それは確かに真澄の耳の中に滑り込む。 「ありがとう・・・」 染みわたるような甘い痺れを伴い、 その短い言葉は真澄の胸を覆い尽くしてゆく。 「ありがとう、速水さん・・・ あ・・・ありがとう・・・」 くらっと、眩暈がした。 愛しさが限界に達してしまったら、 この想いはどう弾けてしまうのだろうと不安になったこともあった。 だけどこの一言は。 ありがとう、ただこの一言だけなのに。 緊張が緩く溶け去って、 うっかり涙が出そうになるのを押さえ込むのも馬鹿らしくて、 それなのに変な具合に笑みが浮かんでしまう。 苦笑いで、涙を飲み込む。 「いや・・・」 と低く呟きながら、 真澄は軽くマヤを抱きしめた。 「礼を言うのは俺のほうだ。 君に会えてよかった・・・本当に、本当だぞ」 ふと力が緩んだ隙に、真澄は真っ直ぐに立つ。 身長差によろめいたマヤは、回した腕を外して、その代わりに真澄がその両肩に手を遣る。 カフスがマヤのファンデーションで少し汚れた。 薄暗い駐車場の照明にそれが浮かび上がる。 マヤは、まだ嗚咽を堪えきれずに、 そして真澄の顔を見上げられずに、視線を泳がせる。 その顔を両手で包み込んだ。 え、 と一瞬止まった隙に。 すっと顔を寄せてキス。 ごく軽く、濡れた頬へ。 「次の舞台も・・・必ず招待しろよ。 そして贈らせてくれ、薔薇を」 ふっと微笑みながら、真っ赤な反対側の頬に・・・もう一度。 今度は少しゆっくりと、唇を重ねる・・・
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