第2話


目が眩みそうな、陶酔感。 そうだ、この感覚は酔った時に少し似ている、とマヤは遠く考える。 真澄の長い指はマヤの髪の上を滑り、さらに一筋、二筋と掻き分けて、 地肌に爪を立てるように撫で上げる・・・かと思うと、クッと頭が支えられて、白い喉が仰け反る。 漆黒の瞳に、熱を帯びた真澄の瞳が移りこむ。 視線を逸らしようがない。 再び、唇が重なる。 今度はさっきよりも強く、吸い付けるように激しく、唇と唇がまるでそこだけ別の生き物のように。 そこから脳髄まで、痺れるような刺激がかけ上げる。 漏らした吐息は刺激をさらに加速させる。 ギシ、 っとラタンが軋む。 真澄の半身がマヤをゆっくりと押し倒す。 衝動が情念を伴って互いに揺らめき合う。 言葉は既にどこかに消えてしまったようだ。 ――やっと唇が離れる。 スッと糸を引いた唾液を、親指で拭い去る。 柔らかな唇は紅く艶やかに、薄く開いた瞼の淵には涙がひとつぶ、零れそうになっている。 ああ、もう駄目だ、完全に。 この子を全て所有してしまいたい。 ただ腕の中に閉じ込めてどこにも出したくない。 いや彼女には彼女の生き方があって・・・俺はただそれを見守るだけで幸せだと、 確かそう思う込もうとしていたはずじゃなかっただろうか。 ――だけど手に入れてしまった。 手に入るはずもないと絶望しきっていたのに、本当に嘘みたいに。 彼女は自分を受け入れた。 それどころか――抱きしめてくれた。 「マヤ・・・」 呼ぶと、そっと目を開いた。 何度も何度も、飽きることなく頬を撫で、髪を擦りながら、軽く額にキスをする。 マヤはその度くすぐったそうに笑う。 おずおずと・・・小さな手を差し上げて、真澄の髪に触れながら。 「・・・覚悟しろよ」 「マスコミ・・・?大丈夫よ、私だってもう一応ゲイノウジンだし」 「違う、俺だ」 「・・・?」 ふうっと、大きく息を吐いて、真澄はマヤの上に覆いかぶさった。 狭いソファの上で、頬と頬がぴたりと重なる。 右手がマヤの左手の上にそっと重なり、それから指と指が軽く絡まる。 「君はもう俺と結婚してしまったんだから・・・  もう一生、離さないから覚悟しろってこと」 「そうかな・・・速水さんのほうが覚悟した方がいいかもよ?  私・・・全然、速水さんとは違う世界で育っちゃってるし――」 「その半分はずっと見てきたんだから心配するな」 「・・・そういうことじゃなくって」 「どうでもいいんだよ、そんなことは。ただ側にいてくれればいいんだ、俺は」 次の言葉をマヤが探す前に、重なった頬が離れて、端正な顔がふっと覗き込む。 困ったように紅い顔は・・・やがてゆるゆると愛しさに笑みを浮かべる。 つながった掌にきゅっと力がこもる。 身体中が、ぴったりと重なって――息をするのも切ない。 「マヤ・・・」 まずい、もう抑えられない衝動が。 言葉より先に身体が動いてしまう。 舌先が、そっとすぐ側の白い喉に触れる。 ビクリ、と全身に緊張が走るのがすぐわかる。 「駄目だ・・・もう、欲しくて・・・仕方がない」 「あ・・・」 「いいか・・・?」 「え、あ、でもまだ」 「何が」 「え、ええっと・・・」 困惑に身を捩るのを、さらに引き寄せて耳元で囁く。 「まだ、何?」 「い、イジワルだなあ、速水さんは」 「どっちが」 「ちょっと・・・」 「明るいのがイヤ?」 「知らない・・・」 囁き合う間にも、真澄の手はマヤの髪を、首筋を。 身体の線に沿って、薄いワンピースの上を滑るように、時に押さえつけるようにして触れてゆく。 触れること・・・触れられることはこんなにも心地良い。 熱い・・・ 身体の芯から、ふらふらになる位。 熱い、おかしくなる、このままでは。 既に下腹部に感じている、まだ慣れない感触に、マヤは縮み上がりそうになる。 だが求められるほどに身体は反応してゆき、自分でもよくわからない、わからないままに誘われてゆく。 web拍手 by FC2

毎日毎日、絵の様に美しい紺碧の海を眺めながら通勤してます。贅沢だ。それでも昔に比べたらやっぱ汚れてるよ、と地元民のヤンキーは語る。
本格的な夏到来。先週からセミがわんさと鳴いてます。虫も鳥もチビらも元気いっぱいで日々へろへろりん。でも楽しい。
明日も頑張ろ〜ってうおおっと、今日妹1の誕生日だ!!電話しないとまた怒られるぞ〜ヽ(*゚∀゚)ノ

    

last updated/11/06/28

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