第3話


カタン、 と、真澄の片足が床に落ちた。 浅く乱れ始めた息のままで、マヤを見下ろす。 訴えかけるような、求めるような・・・ああ、この子はこんな表情をいつの間にするようになったのだろう。 ふたりの時間は確かに数えるほどでしかないけれど―― 重ねた感情と感覚は、こうして身体の奥に鮮やかに刻み込まれているのだ。 「きゃ」 と、声を上げる間もなく。 真澄の腕が軽々とマヤを抱え上げ、フローリングを一跨ぎする。 床の上はまだほんのり暖かい。 だが開ききった窓の外からは、涼しい風が吹き込み、汗ばんだ肌に心地良い。 陽はもう落ちかけているとはいえ、すっかり真っ暗というわけでもない。 夏の空気はまだ生き生きとしてそこにあり、 普段とは違う光の下で見上げる真澄の表情は・・・ゾクゾクと鳥肌が立つほどに艶やかだ、と。 マヤは目を閉じる。 だがその指先は、彼ののシャツの裾を軽く握り締めたままで。 さあっと、 大きな風が吹き抜ける。 カーテンがゆらりと揺らぐ・・・すぐ外はベランダになっていて、目前には深い森が広がっている。 別荘地が集中する辺りから少し離れた高所に立つこの建物からは、 夕暮れ時になると森のあちこちに点りだす明かりがよく見える。 「あ・・・」 思わず唇を開いた・・・そのまま、目を閉じてしまう。 真澄の片腕がするりと背中に回り、ワンピースの小さなファスナーをすっと腰まで下ろしてしまった。 ぱっくりと開いたその隙間に掌が滑り込む。 鳥肌が小波のように立ち始める・・・そのしなやかなラインをそっと撫で上げながら、 白い翼のようにつぼめた両肩を剥き出しにしてしまう。 柔らかな膨らみが交差した腕の中でくっきりと露わになる。 「キレイだな・・・」 心から、溜息混じりに呟いた。 困惑と羞恥心を抱えたままで、マヤは曖昧に笑う。 「ここに触れたことがあるのは・・・俺だけだろ?」 普段の自分なら笑って吐き捨てたくなるような台詞を、 臆面も無く言ってのけるのが我ながらどうしようもないと思う。 マヤはいつでも返答に困って、またそれを弄るのが小さな悦びだ。 ふっと、 右手の指先で触れてみる。 ふんわりと柔らかな感触を・・・ゆっくりと辿ってゆく。 そのまま掌を沿わせると、反射的にマヤの両腕が行き先を拒む。 その反抗をもう片方の手で緩やかに解き放つ――唇と共に。 最早抵抗の仕様も無く・・・なされるがまま、マヤは真澄の腕の中に落ちてゆく。 「あ・・・ん、んんっ・・・」 堪えきれなくなった声が跳ね上がった。 触れるだけだった唇が、下着の隙間にそっと舌を滑り込ませる。 その先端が・・・ごく柔らかな蕾に触れて舐めあげると・・・ あまりに甘い感覚に、最後の砦はあっという間に崩れ去ってしまうのだ。 「あっ、あっ、あ・・・」 小さな掠れ声がポツポツと零れてゆく。 肩紐が滑り落ち、もう片方も引き落とされる。 ぐっと、両腕が回って背中のホックが弾け、戒めが放たれた瞬間の・・・ その息を呑むような美しさに、最早真澄の理性の欠片は喉の奥に飲み込まれてしまう。 ざらっと、舌が蕾を絡め取る。 絡み取るがまま、唇でついばみ、含みながら、片方の掌はしなやかな稜線を撫で上げ続ける。 そしてもう片方の掌は・・・白い喉を駆け上がり、紅い唇の中へと。 ひたひたと、マヤの下腹部から奇妙な感覚が駆け上がってくる。 それは先程から感じている、真澄の衝動をどこかで求めているような、甘い疼き。 ふたつの身体が夕闇の中でもがいている。 狂おしいほどの熱さ・・・そのまま狂ってしまうのかもしれない、触れ続けなければ。 web拍手 by FC2

更新してグダグダに眠り果てよう、とふと部屋の隅に目を遣ると・・・いやがりました、BIGゴキが・・・
ああ〜明日も研修が長いぞ〜 え、てか7月突入じゃないですか!早いなぁ〜!!

    

last updated/11/06/30

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